地理的に自然災害が多く発生することが知られているわが国では、近年は放射線による複合型災害やテロリズムの危険性が指摘されるようになっています。このような有事に際して最大限の人命救助を達成するためには、通常の医療とは異なる災害医療の提供が不可欠となります。
災害医療に関する系統的な教育は、1979年に第1回緊急被ばく医療救護訓練課程が開催されて以降、国際緊急医療援助隊医療チーム研修、災害医療従事者研修、日本集団災害医学会セミナー、NBC災害・テロ対策セミナー、MIMMS(Major Incident Medical Management and Support)などを経て、2005年の日本DMAT(Disaster Medical Assistance Team)研修につながってきました。しかし、これらの教育は現場からERまでの活動に焦点が置かれていたこともあり、被災者の入院後の治療や避難所で提供すべき医療の教育という点に関しては、まだ十分とは言えないと考えています。
FDM(Fundamental Disaster Management)は、SCCM(Society of Critical Care Medicine)が提供している「集中治療に関わる医療従事者が災害時にどのように医療を提供するか」という視点で災害医療全体を学ぶことができるコースです。わが国では2011年11月よりJSEPTICがコースを開催しています。今後もSCCMと協調しつつ、わが国の実情に即したコースへと改善していく予定です。
東日本大震災ではDMATのみならず、多くの医療従事者が災害医療に関わらなければなりませんでした。災害医療の責務を救急医だけに背負わせることなく、より多くの医療従事者が共通認識のもとで活躍できるようにするため、FDMは簡便で有益なコースとなっています。皆さまのご受講をお待ちいたしております。
[divider]
●コースプログラム(例)
●FDMの紹介記事
「児玉貴光、安宅一晃、藤谷茂樹:Fundamental Disaster Managementによる災害医療教育―災害時における病院内対応の必要から―」(PDF)
copyright “Medical Torch”(No.1 Vol.8、32-33、2012)
●テキスト
災害時の集中治療に関するFDM(Fundamental Disaster Management)コースのテキストです。
日本語版はまだ刊行されていません。SCCMのオンラインストアから購入できます。
●受講費用
19,800円(本体料金18,000円+消費税等1,800円/予定)
※別途、振込時の手数料が掛かります。
●募集概要
対象:医療従事者
定員:各回48名
講習会の1、2ヶ月前にCCPATのホームページに公開予定です。